- IP Geolocation活用例
- ジオターゲティング
ジオターゲティングを活用した効果的な広告配信の手法
- 目次
ジオターゲティングとは何か
ジオターゲティングとは、インターネット接続時に取得した位置情報を基に、特定の地域や場所に関心を持つユーザーをターゲットに絞って広告を配信するマーケティング手法です。この技術により、地域密着型サービスや地域限定の広告を効果的に配信することが可能になります。
ジオターゲティングでは、PCやスマートフォンのGPS、Wi-Fi、基地局、Bluetoothビーコンなどの位置情報を利用して、ユーザーの生活圏や属性を推定します。なお、個人情報保護の観点から、ユーザーを特定できる情報を取得しないことが前提です。
たとえば、近隣店舗のセール情報を配信したり、イベント会場にいるユーザーに特化した情報を提供することで、ターゲットとの関連性を高め、広告効果を向上させることができます。
IPアドレスをもとにしたジオターゲティング
IPアドレスによるジオターゲティングは、インターネット接続時に端末へ割り当てられるIPアドレスから、ユーザーのおおまかな所在地(国、地域、場合によっては市区町村)を特定する手法です。ただし、すべてのIPアドレスで精密な市区町村レベルの位置特定が可能なわけではなく、精度にはばらつきがあります。一般的には国・地域レベルでの特定が主であり、より細かなローカル情報を付与するには限界があります。
また、ユーザーがVPNを利用している場合、その接続元情報は実際の所在地と異なる可能性が高いため、IPアドレス単独での高精度な位置特定は難しくなります。しかし、IPアドレスのみを用いる手法は、ユーザー側で特別な許可や操作を必要としない点で導入が容易であり、広域なターゲティングには依然有効です。
ユーザー承認型の位置情報取得(GPS・Wi-Fi・セルタワー・Bluetoothビーコン)を活用したジオターゲティング
GPS、Wi-Fi接続情報、セルタワー情報、Bluetoothビーコンなどを活用したジオターゲティングでは、ユーザー自身が位置情報取得を許可することが前提となります。これらの技術は以下のような特徴があります。
- GPS
衛星測位により、非常に高い精度で現在位置を取得可能。屋外での精度が高く、数メートル単位でのターゲティングが可能です。近隣店舗のクーポン配信や、来店促進などに有効です。 - Wi-Fi
ユーザーが接続したWi-Fiアクセスポイントの位置情報を基にユーザー位置を推定。商業施設や公共エリアなど、屋内や特定エリアでの位置把握が容易になります。 - セルタワー(三角測量)
携帯基地局(セルタワー)との距離情報から大まかな位置を割り出します。GPSほど正確ではないものの、屋内やGPSが届きにくい環境での補完的な役割を果たします。 - Bluetoothビーコン
店舗内など狭い範囲での位置特定が可能。ユーザーがアプリでBluetoothと位置情報の利用を許可することで、特定の商品棚付近でのクーポン発行など、超精密な位置連動広告が可能になります。
これらの技術はユーザーの許可を前提とするため、プライバシーに配慮した上で、高精度かつコンテキストに合った広告配信が可能となります。
Cookieや広告IDなどのユーザー識別情報を活用したジオターゲティング
Cookieや広告ID(モバイル端末の広告識別子)を利用したジオターゲティングでは、過去の行動データを基にパーソナライズされた広告配信が可能です。ただし、これらの識別情報は過去に取得したユーザーのみを対象とするため、すべてのユーザーに適用できるわけではありません。
また、Cookieの廃止や広告IDの利用制限によって網羅率や精度が低下しており、以前ほどの広がりは期待できません。しかし、特定エリアでの購買履歴があるユーザーに対して、その地域でのイベント情報や割引クーポンを優先的に配信するなど、ターゲットを絞った効果的な活用法があります。
手法別特徴比較表
手法 | 精度 | ユーザー許可 | ターゲット範囲 | 導入難易度 |
---|---|---|---|---|
IPアドレス | 中 国・地域 |
不要 | 広域 国・地域単位 |
易 容易 |
GPS | 高 数m単位 |
必要 | ローカル 店舗周辺など |
並 ユーザー許可 |
Wi-Fi | 中 施設単位 |
必要 | 狭い範囲 施設内 |
並 ユーザー許可 |
セルタワー (三角測量) |
中 数百m~km |
必要 | 広範囲 エリア単位 |
並 ユーザー許可 |
Bluetooth ビーコン |
非常に高 数m以下 |
必要 | 超局所 店内商品棚付近 |
難 ユーザー許可 |
Cookie・広告ID+ ビッグデータ |
手法 次第 |
不要(※) | 任意 データ次第 |
並~難 分析必要 |
※Cookieや広告IDはユーザー側の許可(トラッキング許可設定など)やプライバシーポリシーへの同意が必要なケースはありますが、基本的に端末・ブラウザが自動的に付与する識別子です。
まとめ
ジオターゲティングは、多様な技術やデータを組み合わせることで、その効果を最大化できます。
- IPアドレス
ユーザー許可不要、広域ターゲット向け - GPS・Wi-Fi・セルタワー・ビーコン
ユーザー同意必須、高精度な位置取得が可能 - Cookie・広告ID・ビッグデータ分析
過去行動や興味関心を踏まえて、パーソナライズドな配信が可能
これらを適切に使い分け、あるいは組み合わせることで、ユーザーにとって価値の高い広告体験を提供し、広告主にとってはコンバージョン率の向上やLTV(顧客生涯価値)の拡大につなげることができます。