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IPv4アドレスの枯渇
IPv4アドレスの有限性
「IPアドレスとは」で説明した通り、IPv4アドレスは32桁の2進数で、全部で約43億パターンあります。43億個といわれると一見たくさんあるような気もしますが、少し考えただけでも全世界の人が使うのに十分な数とは言えないことがわかります。
IPv4アドレスの枯渇とは
インターネットサービスプロバイダは、レジストリから割り振られたIPアドレスをユーザに割り当てています。そして、IPアドレスの在庫がなくなると、レジストリに対して追加のIPアドレスブロックを割り振ってもらうことができました。
ISPなどに対する割り振りのルールが変わり、今まで通りにIPアドレスを割り振ってもらえなくなることを「枯渇」と言います。
ICANNは2011年には5つのRIR(地域インターネットレジストリ)に各1つずつIPアドレスブロックを割り振り、ICANNの持つIPv4アドレスの枯渇を発表しました。
その後、APNIC(アジア太平洋地域を管轄するRIR)・RIPE NCC(ヨーロッパ地域を管轄するRIR)でもIPv4アドレスが枯渇しました。日本国内のIPアドレス割り振りを行うJPNICはAPNICの在庫から割り振りを受けるため、日本国内のIPv4アドレスは既に枯渇していることになります。
枯渇による影響と問題
IPv4アドレスの枯渇により最も大きな影響を受けると考えられているのが、インターネットサービスプロバイダ、データセンター事業者などの、IPv4アドレスを使ったビジネスを展開している企業です。
これらの企業は、サービスを提供する際に、サービス利用者にIPv4アドレスを割り当てなければいけません。IPv4アドレスの在庫がなくなってしまえば、新規顧客にサービスを提供することができず、ビジネスを拡大することが難しくなります。
IPv4アドレス枯渇対策の一つとして、「IPv6アドレス」という新しい形式へ移行・対応することが提唱されています。しかし、移行・対応に伴うコストやリスクが大きい事、依然としてIPv4アドレスが使われ続けている事など、IPv6アドレスへの移行や対応にはいくつもの壁があります。
一方、「IPv4アドレス移転」という制度を利用する動きも見られます。これはある組織に割り振られたIPアドレスを、別の組織に移転するという制度であり、IPv6アドレスへの移行や対応よりも低コスト・低リスクの方法であると言えます。IPv4アドレス移転については、「IPv4アドレス移転とは」で詳しく解説しています。
まとめ
- ICANNのIPv4アドレスは2011年には枯渇し、RIRのIPv4アドレスも枯渇しつつある。
- 枯渇対策の方法の一つとして、IPv6アドレスへの移行・対応や、IPv4アドレス移転などがある。