Cookieとは何か

インターネットを利用する際、多くのウェブサイトで「Cookieを使用しています」という通知を目にしたことがあると思います。Cookieは、ウェブサイトがユーザーのデバイスに保存する小さなデータファイルのことです。このファイルには、ユーザーのブラウジング行動やウェブサイトでの設定情報が含まれており、次回そのウェブサイトを訪れる際に、以前の設定やログイン情報を記憶しているため、ユーザーは再度入力する手間を省くことができます。

Cookieの役割

Cookieは、ウェブの発展とともに重要な役割を果たしてきました。初期のインターネットでは、ユーザー体験向上のためにセッション管理やユーザー認証、設定の保持に利用されていました。インターネットの商業化が進むにつれ、広告のターゲティングやトラッキング手段としても重要視されるようになりました。

広告業界では特に3rd Party Cookieが大きな役割を果たしており、広告主はユーザーの行動を追跡してターゲット広告を提供します。この手法は広告効果を高め、ユーザーに関連性の高い広告を表示するために有効でした。

Cookieの種類

Cookieにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる目的や機能を持っています。主に以下の2つの種類に分類されます。

•  3rd Party Cookie
  3rd Party Cookieは、ウェブサイトのドメインとは異なるドメインによって設置されるCookieのことです。このCookieは、特に広告ネットワークやトラッキング目的で使用されます。3rd Party Cookieを用いることで、異なるウェブサイト間でユーザーの行動を追跡し、興味関心に基づいた広告を表示することが可能です。これにより、広告主はユーザーの閲覧履歴に基づいたターゲティング広告を行うことができます。ただし、ユーザーのプライバシーに関する懸念が高まり、主要なブラウザの多くは3rd Party Cookieの使用を制限し始めています。これにより、企業は代替手段として、1st Party データの活用や新しいトラッキング技術の開発を進める必要があります。
• 1st Party Cookie
  1st Party Cookieは、ユーザーが訪れているウェブサイト自身が発行するCookieで、主にユーザーの設定やログイン情報を保持し、サイトの利用をスムーズにするために利用されます。これにより、サイト訪問時の利便性が向上します。また、1st Party Cookieはプライバシー保護の観点からも重要で、第三者にデータが渡ることがないため、3rd Party Cookieに比べて安全性が高いとされています。現在、プライバシー規制が強化される中で、3rd Party Cookieの利用が制限される一方、1st Party Cookieの重要性が増しています。

3rd Party Cookieの規制について

3rd Party Cookieの規制は、主にユーザーのプライバシー保護を目的として行われています。ここでは、ブラウザによる規制と法的な規制の2つに分けて解説します。

• ブラウザによる制限
  Safari: Appleは「Intelligent Tracking Prevention（ITP）」を導入し、3rd Party Cookieを大幅に制限しています。iOS 13.4以降のSafariブラウザであれば、3rd Party Cookieは例外なく、全てブロックされます。
  
  Firefox: Mozillaは「強化型トラッキング防止機能」が導入されており、初期設定で3rd Party Cookieをブロックしています。ブラウザのアプリケーションメニューから「設定」→「プライバシーとセキュリティ」をクリックすることで、メニューを開くことができます。設定を標準からカスタムに変更してCookieの欄のチェックをクリックする事でオンオフを切り替えることも可能です。
  
   GoogleChrome: Googleは3rd Party Cookieのサポートを段階的に廃止する予定です。その代替として、「Privacy Sandbox」と呼ばれる新しいプライバシー保護技術を開発中です。
• 法的規制
  GDPR（EU一般データ保護規則）: ヨーロッパでは、ユーザーの同意がない限り、3rd Party Cookieの使用が禁止されています。企業はユーザーにCookieの使用目的を明示し、明確な同意を得る必要があります。
  
  CCPA（カリフォルニア州消費者プライバシー法）: アメリカのカリフォルニア州では、ユーザーに3rd Party Cookieの使用をオプトアウトする権利を提供することが求められています。
  
  CPA（Colorado Privacy Act）: コロラド州では、ユーザーに対して3rd Party Cookieの使用に関する透明性を提供し、データのアクセスや削除の権利を確保することが義務付けられています。CPAは、ユーザーに対して個人データの取り扱いについての選択肢を提供することを重視しています。

3rd Party Cookieへの依存をやめる

3rd Party Cookieへの依存が薄れ、プライバシー保護が重視される時代に移行しています。これらのCookieは広告ターゲティングに利用されてきましたが、ユーザーのプライバシー侵害が問題視され、多くのブラウザがブロックを導入するなど、規制が強まっています。企業は代替技術を模索し、Cookieに依存しない新たな手法が求められています。今後は、プライバシー保護を前提とした広告手法が主流となり、より透明性のあるデータ利用が進むでしょう。

まとめ

・Cookieの役割:1st Party Cookieは、設定やログイン情報を保持し、サイトの利用をスムーズにするために利用されている。それに対し、3rd Party Cookieは、サイトをまたいだ情報を取得し、行動分析に利用されることが多く、トラッキング目的などで使用されている。

・Cookieの安全性: 1st Party Cookieは、第三者にデータが渡ることがなく、3rd Party Cookieに比べて安全性が高いのに対し、3rd Party Cookieは、サイトをまたいだ情報を取得できるものの、追跡が非透明な形で行われている。

・3rd Party Cookieの規制:各ブラウザで、制限を進めているものや、制限が既にされているものが存在する。また、法的にも厳しい規制が設けられている。

・3rd Party Cookie依存の廃止: プライバシー保護が重視され、3rd Party Cookieへの依存が減少している。プライバシー保護を前提とした新たな手法を模索することが必要。

Cookieに依存しないアクセスログ解析について、詳しく知りたい方は、こちらの解説記事をご覧ください。詳細な仕組みについても紹介しています。

Cookieに依存しないアクセスログ解析！ SURFPOINT-Analyzer

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