- IP Geolocation活用例
- ジオターゲティング
気圧センサーを活用して位置情報の三次元化が可能に!?
はじめに
GPSによる位置情報取得は、平面上の位置(緯度経度)は比較的精度良く取得できますが、ビルの何階にいるかといった高さの測定においては、誤差が大きく利用が難しい状況でした。そこで今回は、気圧センサーを活用した位置情報の三次元化について詳しく解説します。
気圧センサーによる位置情報判定
気圧センサーは高度を測定するために使用され、スマートフォン、スマートウォッチ、IoTデバイスなどに内蔵されています。気圧センサーは周囲の気圧を測定し、近隣の基準点の気圧情報とネットワーク経由で比較することで、デバイスの高度をリアルタイムに測定します。気圧センサーを用いた垂直測位は、2~3mの精度で高さを特定できるため、非常に高精度です。

これにより、GPSで特定していたX,Y軸の位置情報に、Z軸の位置情報を加えられ、建物内の特定のフロアや高さを正確に把握できます。(垂直測位)GPSは広範囲の水平位置を特定するのに適していますが、屋内や地下では信号が届きにくく、高度の測定も困難です。一方、気圧センサーはそのような環境でも高度を正確に測定できるため、両者を組み合わせることでより包括的な位置情報サービスが提供可能となります。
上記の仕組みは、MetCom株式会社の垂直測位サービス「Pinnacle」で利用できます。提供地域は、関東圏、関西圏、中京圏、札幌市、仙台市、広島市及び福岡市など、全国主要都市へと拡張しています。

垂直測位の活用例
垂直測位による位置情報は、以下のように活用することができます。
1.ショッピングモールなど高層ビル内の店舗プロモーション
特定のフロアにいる顧客に対して、そのフロアの店舗に関連するクーポン、ナビゲーション情報をリアルタイムで配信する。
2.スポーツイベントでの観客誘導
スタジアム内の特定の階層にいる観客に対して、売店やトイレ、出口などの案内をスマートフォンアプリで提供し、混雑を緩和。さらに、特定のエリアにいる観客に対して、関連グッズの販売や飲食物のプロモーション情報を配信する。
3.防災アプリや避難アプリでの情報提供
防災アプリや避難アプリに垂直測位技術を組み込むことで、水害ハザードマップをリアルタイムに利用できる。ユーザーの位置情報の浸水リスクを即座に判断し、垂直避難(高い場所への避難)も含めた避難ガイダンスを提供する。
気圧センサーの技術は今後さらに進化し、多くのスマートフォンやIoTデバイスに組み込まれることが予想されます。この技術の進展により、位置情報サービスの精度と利便性が一層向上し、新たな活用例が期待できます。
まとめ
- 気圧センサーは、スマートフォンやIoTデバイスに内蔵されており、周囲の気圧を測定して高度をリアルタイムで判定する。これにより、建物内の特定のフロアや高さを2~3mの精度で特定できる。
- 垂直測位技術は、ショッピングモール内のフロアごとのプロモーション、スポーツイベントでの観客誘導、防災アプリでの避難ガイダンス提供などに活用できる。
Q&A
Q1:気圧センサーを使って「高さ(Z軸)」の位置情報は取得できますか?
はい。スマートフォンや IoT デバイスに内蔵された気圧センサーで周囲の気圧を測定し、近隣の基準点の気圧情報と比較することで、高度(高さ)を測定できます。
これにより、建物内の「何階にいるか」など高さ方向の位置も判定可能です。
Q2:気圧センサーによる垂直測位の精度はどの程度ですか?
気圧センサーを用いた垂直測位では、2〜3メートルの精度で高さを特定できるため、従来GPSでは難しかった「フロア単位」の判定も可能となります。
Q3:気圧センサー測位を使うことで、どのような場面で有用ですか?
以下のような利用シーンで有効です。
- 商業施設やビル内で、特定フロアにいるユーザーへのクーポンや案内を配信するプロモーション。
- スタジアムや大型施設での観客誘導、売店やトイレなどへのナビゲーションや案内。
- 防災アプリなどでの利用。浸水や災害時において、屋内/屋外・フロアを判定し、高さ情報を使った避難誘導などに活用可能。
Q4:気圧センサー測位はGPSに代わるものですか?
気圧センサー測位はGPSと同じ “平面 (X, Y)” の位置情報ではなく “高さ (Z)” を補完する技術です。
GPSが苦手とする屋内や地下、ビル内部でも高さを測定できるので、GPSの弱みを補う役割を果たします。
Q5:この技術を使う際に前提となる条件は何ですか?
スマートフォンやIoTデバイスに気圧センサーが内蔵されている必要があります。
また、基準点となる気圧情報を取得・比較可能なネットワークや仕組みが整っている環境が必要です。
記事執筆・編集:Geolocation 編集チーム
- 経歴・活動実績
- IT企業出身エンジニア・デザイナーで構成されたチーム。金融・製造・観光など多業種のプロジェクトを担当。IPアドレスやジオターゲティングなど、IT技術に関する記事を継続的に発信中。
- 資格
- マーケティング系、ベンダー系、セキュリティ系など、幅広い専門分野の知識・技術を取得しています。
