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IoTにおけるIPv6の必要性とIoTの活用事例
はじめに
IoT(Internet of Things)とは、モノをインターネットにつなげることで、PCやスマートフォン、ゲーム機、家電製品など、あらゆるモノをインターネットに接続する技術です。
このIoTの技術により、多くのデバイスがインターネットに接続され、IPv6の重要性が増しています。
今回はIoTの発展におけるIPv6の必要性と、IoTの活用事例について詳しく解説していきます。
IoTとIPv6の関係
IoTの普及に伴い、接続されるデバイスの数は日々増加しています。
総務省「令和5年度版情報通信白書[※]」によると、世界のIoTデバイス数は、
2025年には440.2億台に達すると予測されています。
出典:総務省ホームページ
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00212
スマートフォンや家電、センサーなど、私たちの身の回りには多くのIoTデバイスがあり、その他にも機械の自動化などビジネス分野での利用に至るまで、幅広い用途で活用されています。
これらのデバイスは個別のIPアドレスを必要とするため、アドレスが枯渇状態にあるIPv4では、十分なアドレスを提供することは困難です。
そこで、IPv6の導入が重要になります。ほぼ無限のIPアドレスを提供するIPv6は、IoTデバイスの急増に対応し、すべてのデバイスにユニークなIPアドレスを割り当てることが可能となります。
今後のIoTの発展において、IPv6の広大なアドレス空間は必要不可欠です。
IPv6の広大なアドレス空間は、今後のIoT時代を支える重要な技術となるでしょう。
IoT時代の到来
IoTが普及した理由をいくつか挙げていきます。
● 5Gの普及
従来の通信では遅延が発生することがありますが、5Gは高速な通信速度を提供します。
5Gは大量のデータをリアルタイムで送受信できるため、IoTデバイスが生成する膨大なデータを効率的に処理することが可能になります。
例えば、監視カメラや、交通における異常監視システムなど、高速なデータ通信が求められるシーンで5Gは非常に有用であり、IoTの発展に必要な技術です。
● コスト削減
IoTはさまざまな場面で活用され、効率化によってコスト削減を実現します。
例えば、IoTデバイスを活用してエネルギー消費をリアルタイムで監視することで電気代の節約や、在庫管理や配送ミスの削減、作業の自動化などが可能です。
これらにより、人件費削減や設備の維持管理、エネルギー消費、物流、生産などの分野で効率化が進み、コスト削減が実現できます。
● スマートフォンの普及
近年、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスが普及し、これらのデバイスを通じてIoTデバイスと連携することが一般的になりました。
特にスマートフォンは世帯における主な保有率が90%を超えているとの調査※もあり、ほとんどの人が日常的にIoTデバイスとの接続を経験しています。
家電製品や車、健康管理機器など、さまざまなデバイスがスマートフォンと連携し、ユーザーにとって便利で効率的な生活を提供しています。
※令和5年通信利用動向調査の結果(総務省)
IoTで日常生活が快適に
IoTを活用することで、日常生活がもっと便利で快適になります。そこで日常利用でできるモノを一部紹介します。
● 家電製品
スマートフォンでエアコンの温度調節や照明の点灯、音楽の再生、家の鍵のロックなど、遠隔操作ができます。他にもカメラでペットの見守りや、給餌器で自動的に餌やりをするIoTデバイスもあり、安心して外出することができ、日常生活がより快適になります。
● スマートスピーカー
音声アシスタント(Google AssistantやAmazon Alexa)を使って、音楽の再生やスケジュールの確認、天気予報やニュースなどの情報収集、ショッピングなど、手を使わなくても音声でサポートしてくれます。
● 健康管理
スマートフォンやスマートウォッチ(Apple Watch等)を使って、歩数、心拍数、カロリー消費などの健康状態を把握することができます。
その他にも、睡眠アプリを利用して睡眠時間や睡眠の質を管理、IoT対応の体重計とスマートフォンを連携させることで、体重だけでなく体脂肪率や筋肉量をグラフ化して確認することができます。
IoTのビジネスでの活用事例
IoTはビジネスのさまざまな分野で活用されており、業務の効率化やコスト削減、新しいサービスの提供に貢献しています。そこで、いくつか活用事例を挙げていきます。
● 医療
・感染症予防
手をかざすとセンサーが感知し、消毒スプレーが噴射される自動のアルコール消毒器や、カメラの前に立つだけで検温ができる非接触体温計などがあります。
・環境の最適化
病室内の温度や湿度をIoTデバイスで最適化し、患者の快適さや治療環境を改善。
・オンライン診療
人手不足の解消、近くに病院がない患者の医療対応を実現。
● 小売業
・在庫管理
RFID(Radio Frequency Identification)技術を活用し、商品にタグを取り付けてリアルタイムで追跡することで、欠品や過剰在庫を防ぎ、効率的な補充を実現します。
・レジカート
商品をカートに入れると、合計金額や割引情報、クーポンを自動で表示。レジの待ち時間短縮が可能に。
● 物流業
・車両追跡
車に位置情報を取得できるIoTデバイスを搭載し、運行状況をリアルタイムで管理。最適ルートと運転行動を把握し、効率化とコスト削減。
・スマートコンテナ
センサーで温度や湿度、位置、衝撃などを監視し、盗難や異常を防止。運用を最適化し、コンテナの破損や紛失に伴うコストを最小限に抑えます。
● 農業
・ドローン
作物の状態を上空から撮影し、農作物の生育状況を把握できます。
・スマートセンサー
センサーで水分量や温度、pH、ECなどをリアルタイムで監視し、高品質な農作物を育てることができます。これにより効率的な水やりや肥料の管理が可能になり、資源の無駄を減らします。
まとめ
・IoTの普及に伴い、IPv6の広大なアドレス空間がIoTデバイスの増加に対応するために不可欠となっている。
・IoTの普及は、5Gの高速通信、コスト削減、スマートフォンの普及などにより加速した。
・IoT家電を活用することで、遠隔操作が可能になり、より便利で快適な生活を実現できる。
・ビジネスのさまざまな分野でIoTが活用されており、業務の効率化やコスト削減に繋がっている。