- 目次
-
1.はじめに
IPv6は、インターネットを接続するユーザ側と、接続されるコンテンツ配信側の両方が対応して初めてIPv6で通信が行われます。
今回はそのIPv6のコンテンツ配信側の対応について詳しく解説していきます。
2.互換性
IPv4とIPv6は別々のインターネット空間に存在しており、全く別のプロトコルになります。その為、IPv4とIPv6には互換性が無く、IPv4アドレスのみを持つデバイスはIPv6アドレスのみを持つデバイスと直接通信することができません。
IPv4とIPv6はそれぞれ対応したサイトのみ接続が可能ですが、現在はインターネット全体がIPv4前提で構築されている部分が多く、IPv4に対応していれば、ほぼ全てのWebサイトを閲覧することができます。
一方、IPv6でなければ接続できないWebサイトはほとんどありません。
ユーザにとって、IPv6を利用することで、新しく見れるコンテンツはなく、コンテンツ配信側にとっても、IPv6に対応することで新しいユーザを獲得することもできません。
コンテンツ配信側としては新しいユーザを獲得できないため、ビジネス的なメリットが少ないといえます。
導入の課題と進展
上述のようにコンテンツ配信側にビジネス的なメリットが少ないという点に加え、以下のような課題もあります。
● 技術的課題
IPv6の導入には、サーバやネットワーク機器の設定、セキュリティの対応など、いくつかの技術的な課題があり、IPv6の専門知識が必要になるため、学習コストがかかります。
● コスト
IPv6対応には、ハードウェアや、移行のためのテスト、移行後の運用コストが必要です。
これらにコストをかけても得られるメリットが少ないので、一部の企業や組織では導入が遅れております。
3. IPv6対応サイトの国内状況
ここで、日本のサーバ側(コンテンツ配信側)のIPv6の対応状況について、下記サイトを参考に調査してみました。※2024年10月時点
● IPv6 Deployment Status
https://www.vyncke.org/ipv6status/detailed.php?country=jp
左から3列目がWebサイトのIPv6の対応状況で、緑が対応済み、赤が未対応になります。
こうして見ると、日本でIPv6を対応しているサイトが少なく、有名企業のサイトでも、IPv6に対応しているとは限らないのが分かります。
IPv6の対応サイトが少ない理由は、前述したように、サーバ側(コンテンツ配信側)がIPv6を導入してもメリットが少ない事が、対応の遅れの要因となっております。
4. IPv6対応サイトの世界状況
世界のサーバ側(コンテンツ配信側)のIPv6の対応状況についても、下記サイトを参考に調査してみました。※2024年10月時点
● IPv6 Deployment Status
https://www.vyncke.org/ipv6status/
調査の結果、ヨーロッパ州が上位を占めていることが分かりました。
日本は他の国と比較した時、サーバにおけるランキングが116位と低く、サーバ側(コンテンツ配信側)のIPv6の導入が著しく遅れております。ですが、日本のユーザ側の対応では、IPv6の利用可能なユーザが50%を超えており、世界でも14位の位置にいるというアンバランスな結果が見られました。
5.まとめ
・IPv4とIPv6は別々のインターネット空間に存在しており、全く別のプロトコルである
・IPv4とIPv6は互換性が無く、コンテンツ配信側でIPv6を対応するにはメリットが少ない
・国内では、IPv6を利用できるユーザが50%を超えているのに対し、コンテンツ配信側は16%ととても低く、アンバランスな状態である
・有名企業のサイトでもIPv6に対応しているとは限らない
・世界でのコンテンツ配信側のIPv6対応状況は、ヨーロッパ州が上位を占めている
■ 参考サイト
下記サイトでipv6の接続性が確認できます。
あなたのIPv6接続性をテストしましょう。
https://test-ipv6.com/index.html.ja_JP